はじめはそこに意味らしい意味があった。後で読む、ネタ、増田、炎上、ライフハック。つけたいタグがあった。しかし一段また一段を高みを目指すうちに、本来心にあった罵倒や愚痴や自慢や大喜利は次第に薄らいでいく。僕が山頂を目指すのはなぜだろう。最上段へ行ってなにがしたいというのだ。あなたがそこにいることは誰も気づかない。idコールさえも出来ず、ただブクマ数が増える不毛の大地。
そう気づいた誰かしかは山頂の一歩手前で歩みを止め誰かにidコールをする。
idコールは電話よりも特殊な呼びかけだ。それには着信音もバイブレーションもない。ただ右上にひとつ通知がくるだけ。呼ばれた人だけ気づくことが出来る不思議な声。そうして呼びかけた相手とともに、二人は静かな会話をする。はてブの山頂の一歩手前で。
- 作者: 深田久弥
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 文庫
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