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マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評】限りない夜という表現/羅生門・鼻・芋粥・偸盗

 先日、チョコはいいから本をくださいとお願いしたらなんと二冊も送られてきた。名前も顔を知らないからモノをいただくというのは何とも不思議な感覚だ。

 今日は送られてきた本のうちの一冊、芥川竜之介の作品を紹介する。これは王朝物というジャンルらしく、平安時代の資料からイメージを膨らませて現代にも通じるメッセージを発信している。羅生門はリストラにあった男が老婆から悪事を働く勇気を得る話。鼻は自分の長鼻にコンプレックスを抱く会社員が、鼻を短くするがやっぱり長くなる話。芋粥は腹いっぱい芋粥を食べたいと願った窓際社員が専務に連れられて芋粥が大量生産されている現場へおもむき興ざめする話。偸盗はちゅうとうと読む話だ。

 どれも面白いが今回は最後の偸盗にのみ言及する。強盗団に所属している兄弟太郎あんど次郎は二人とも団長の美人尻軽女を好いていた。兄弟は互いにこんにゃろめと思っていた。ある日いつものように目当ての物件を襲っていたら、めっちゃ敵が出てくる。逃げ出す次郎の後を人食い犬が襲ってきて反撃するもピンチ。と思ったその時太郎が馬に乗って駆けつけてくる。

 このあたりの太郎の心情の描写が素晴らしい。

彼は空を見なかった。路も見なかった。月はなおさら眼にはいらなかった。ただ見たのは、限りない夜である。夜に似た愛憎の深みである。

 可愛さ余って憎さ百倍とはまた違うが、こんにゃろめを分解して限りない夜と言い表す彼の文章力はなるほどという他ない。

 そのあと結局二人は一頭の馬に二人乗りで夜の街に繰り出すのだが、僕には馬がバイクに思えてきて、
兄「つかまれ!逃げるぞ」
弟「兄さん…… 」
バイク「ブゥーンブゥーン」
BGM: 十五の夜

 というイメージが頭の中に現れた。

終わりに

 誰だが分かりませんが、本を送っていただきありがとうございます。もう一冊のほうもそのうち感想を書きます。

羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫)

羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫)