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マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評/感想】少ないページの合間で僕は考える所作を挟む/「ZOO 2」

机上の実験室

 予報では午後から雨が降るようだったので今朝はバスで大学へ向かった。最寄りの駅から大学まではかなり時間がかかるのでかばんの中に入っていた本を読むことにした。この作者は理系的でストーリーの構成や人物がよく練られているなと感じることが多いが、今回の作品は実験的な要素が多くてこれをしたらどうなるのかなと彼がうきうき気分で筆を運ばせているのが想像できた。中身はというとミステリアスな短編集で六つのお話が入っている。どれも作品も死との距離が大変近くもっと緊張感が出るはずなのだがいくつかのスパイスのせいでその香りが薄まっている。抜けていてシュールでひょうきんな感じ。週刊ストーリーランドと聞いてピンと来る人が多いかどうかは分からないが、あれに近い。そう近い。

 研究室は常に危険と隣り合わせである。いつ何時液体窒素が身に降り掛かるか分からないしどこかの配線がショートして火事になるかもしれない。ほんのわずかなリラックスタイムに狙いをすましたかのように教授が進捗どう?とドアを開けてくることもある。がちゃり。そんなときに必要なのは仮定を立てるということだ。素数を数えながら様々なシチュエーションを想像するのが理想的だが普段はある一つのパターンを考えるだけでことたりる。そういうわけで紙にプログラムを書いたりブログネタを野帳に書き留めたり漫画の隣に参考書を置いたりする。

 この作品は読むだけでは楽しくない。短編集なので油断するとすぐにオチが来てしまいネタバレすることがあるからだ。考えることが大事だ。この変数を使ってないぞとかミスリードがないかとか条件を言い換えられないかとか、まさにいかにして問題をとくか(ポリア著)そのものである。読むという行為は受動的なものでテレビ番組を観ているのとだいたい一緒である。自分の脳を震わせるのに大切なのは考えることであり書くことであり誰かと話をすることである。アウトプットなんて横文字を使うとアウトプットはどこか遠くへ消えてしまうためこう表現した。

 帰りの電車は空いていて雨の音がこちらまでよく聞こえてきた。僕はこのあとブログを書いてごはんをたべて寝る。そして起きて研究室へ向かいごはんをたべて寝る。或はネリリし、キルルし、ハララする。この本は僕の人生にどのくらい寄与するかは分からないがなにがしかの燃料にはなったかな。一冊の本を読み終えるとそんなことを考える。

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ZOO 2 (集英社文庫)