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マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評/感想】つぎつぎと次のご都合主義を/「物理学はいかに創られたか(上)」

読書

あらゆる力をさぐる

http://instagram.com/p/hSk4vehBLZ/

物理学はいかに創られたか(上) (岩波新書)

 この世界は一体なんなのだろう。物体を支配している力はなんだろう。僕らは何によってこの状態を保っていられるのだろう。そういった疑問が物理学のスタートになった。物理学はいかに創られたかという本は人類が手に入れてきた物体に関する法則を簡単なものからはじめて順に紹介してくものだ。古典力学から光、電磁気学、相対性理論、量子理論を数式を用いることなく解説しているのはなかなか無い。

 一番のポイントは著者がアインシュタインとインフェルトの共著ということか。あのアインシュタインと本を通して会話ができるのが嬉しい。


物理が好きだった

 僕は嫌いな科目が無いいたって真面目な生徒だった。どの授業も好きだったが高校の授業で一番好きだったのが物理だった。この世の運動をシンプルな数式に置き換えることができるというのは厨二心をくすぐられたし先生にも恵まれていた。「〜なわけでぇ」としゃべる物理の先生はおでこに三本のシワが寄っているのと黒ぶち眼鏡がチャームポイントだった。ワイルドな顔立ちで若い頃はさぞモテたのだろうなと思っていた。実際女子学生からチョコをもらっていた。先生があまりにも物理について楽しそうに喋るので僕はどんどん物理が好きになった。
「教科書を頭から全部読むこと」これが物理の攻略法だと言う。たいていの数式ノイローゼ、文系の人は公式の欄にしか目を通さない。しかしこれでは物理の流れが分からない。はじめにこのような動きがあって理由があってこの式が生み出せるがこんな例外もある、という文脈全体を読んではじめて物理が分かるのだ。

 「弾性係数が1以上だったら、ボールはガンガンガンガン!と屋根をぶちぬけてしまうわけで〜」

 楽しかったなあ。

数式を載せておいた方がわかりやすいかも

 数式がないから誰でも親しみやすいというのがこの本の強みであるのだが、それでも少しは数式があったほうが理解がすすむ。

運動方程式
 m \alpha = F
m:質量[kg]  \alpha:加速度[m/s^2] F:力[N]
ニュートンの運動方程式 - Wikipedia


万有引力
 F =G \frac{M m}{r^2} 
M,m:質量[kg] r:二物体間の距離[m] G:万有引力定数
万有引力 - Wikipedia


エネルギー保存則
 E = K+U+C 
K:運動エネルギー U:位置エネルギー C:散逸エネルギー
力学的エネルギー - Wikipedia


アボガドロ定数
 6.0\times 10^{23}
アボガドロ定数 - Wikipedia



 これくらいwikipediaで調べておけば本をすいすい読めるはずだ。

 ……tex記法なんて久しぶりに使ったぞ

光は粒子か波か

 上巻の山場は光の粒子性と波動性を議論するところだろう。光をいままでの古典力学にあてはめようと考えると光を細かい粒子(光素)と見る必要があった。しかし光の回折という現象を理解するにはこの枠組みは不適切なものだった。

 物理学の発展は概念の創造というか拡張というのがキーワードになっていて「今までの考えではうまく表せないからこうしよう」というスタンスをとることが多い。言うなればご都合主義だ。しかしこのご都合主義がいい具合に真理を捉えているのだから人間の知性も捨てたもんじゃない。

 そして光は波であるという考えが主流になった。波であるとすると回折もうまく表すことが出来る。虹や夕焼けや空が青い理由も波を使えばオールOKだ。

おわりに

 さいごに引用。

 私たちは、古い観念や、古い理論を検討してゆかなくてはなりません。過去にはそれでよかったものの、同時にその検討によって新しいものの必要を理解し、かつ前のものの成立する限度を明らかに知ることが大切です。

 これは物理学だけではなくいろんなことに言えることだ。常識やしきたりや決まりきった枠組みを常に検討して新しい土台をつくる。昔つくったものも放っておかないでその限界を知る。

 考えていきたい。

 
 上巻は電磁気学の導入辺りで終わりになった。光は真空中では何を媒体として進んでいるのか、という問いに対して波動説を唱える人はエーテルという用語をでっちあげた。なんかもうすんごいものという意味合いだ。果たしてエーテルの正体とはなんだろう。これは下巻に答えが書いてあるだろう。早く読みたい。