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マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評/感想】魔女の予言に振り回された残念な人間/「マクベス」

ヘエエエイ!マクベス!

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マクベス (光文社古典新訳文庫)

 スコットランド王に仕える将軍マクベスが魔女たちの予言に振り回されて悪事を働きついには自分が殺されてしまう話。シェイクスピア四題悲劇のひとつはやっぱり悲劇でしかなかった。人の恐怖や憎しみ妬みそねみに潜んでいる魔女たちはきっとあなたの中にも。

 ヘエエエイ!

目に見えてしまう魔女たち

 この物語には三人の魔女が出てくるが彼女(?)たちの扱いが面白い。普通に見えているし会話もできるのだ。僕はこんな作品に出てくる魔女は自分たちも超人的な存在であってひととは違う次元に住んでいると感じている。無色透明で人の目には見えないがぞぞぞと寒気がしたり怖い雰囲気を垂れ流しにしていたり。

 しかしマクベスにおいては違うのだ。主人公マクベスとその同僚に向かってヘエエイ!ヘエエイ!と予言を繰り出してくるのだ。「うわちょっと危ない人だな距離をおかなくちゃ」とかマクベスは思わないのだろうか。

 何にせよ彼女たちの予言によってマクベスの人生は大きく変わる。魔女なんだから良い方向へはもちろんいかず悪いほうなのだけど。

予言

 その予言の内容はびっくりするものだった。

 魔女一 ヘエエエイ、マクベース! グラーミスの御領主様。
 魔女二 ヘエエエイ、マクベース! コーダーの御領主様。
 魔女三 ヘエエエイ、マクベース! やがては王様におなりになる方。

 マクベスが王様になってしまうらしい。同僚のバンクォーも頼んで予言してもらった。結果がこれ。

 魔女一 ヘエエエイ!
 魔女二 ヘエエエイ!
 魔女三 ヘエエエエイ!
 魔女一 マクベスほど偉くはないが、もっとずっと、偉くなる方。
 魔女二 マクベスほど幸せじゃないが、もっとずっと、幸せになる方。
 魔女三 自分は王にはならずとも、代々の王様の、その父祖となる方。

 バンクォー自信は王様にはならないものの彼の息子たちが王様になるらしい。しかも代々と。この後すぐにマクベスについての予言のひとつが当たってしまい信憑性が増してきた。当たらないかもしれないけれど当たるかもしれない。そわそわしてきたマクベスは妻にそそのかされて王様を殺してしまう。さらにバンクォーとその息子にも手をかけるのだ。こわいこわい。

名言

 いったん悪を始めたからには、悪を重ねること以外、強くなる道はどこにもないのだ。

 マクベスが自分の罪を正当化するために言った言葉であるが悪の大王が放ったセリフのようでかっこいい。バイキンマンやクッパは好きで数多くの悪事を行っている訳ではないのかもしれない。彼らにもはじめは正義とか友情とか情熱パッションがあったのかもしれない。しかし転がり始めてしまったらもう戻れないのだ。

 ここでの強くなるとはどういう意味なのか。精神的なものなのか。強くなったらどうなるのか。マクベスに聞いてみたい。

ドナルベインはどこへいったのか

 読み終わった後すぐに生じた疑問がこれだ。スコットランド王のダンカンには二人の息子がいる。マルコムとドナルベインだ。王が殺された直後二人はそれぞれイングランドとアイルランドへ亡命する。マルコムは後になって劇中へ登場するのだがドナルベインは出てこない。彼はどこへいってしまったのか。

 僕は殺し屋その三が実はドナルベインだったのではないかと思う。バンクォーとその息子を殺し屋に襲わせるとき二人の殺し屋のもとへあとになって合流したのが殺し屋その三だ。「マクベス様に頼まれてきた」と言っているがマクベス自身が依頼したかどうかは分からない。

 計画は一部失敗に終わり、バンクォーを殺害したが彼の息子は逃げ延びた。これが殺し屋三の努力によるものなのかは台本には書いてない。そうだったら面白いなとふわふわ感じた。

おわりに

 冒頭の文章を再度書くことになるが、マクベスでは人の憎み妬みそねみが魔女という形になってこの作品に登場している。明日だれかに寝首をかかれるかもしれない。部下に裏切られるかもしれない。あいつの方が先に昇進するかもしれない。そんな不安を抱えていたら魔女が出てくるわけだ。

 ヘエエエエイ!


※タイトルを【書評】から【書評/感想】にしたのはSEO対策。「本のタイトル 書評」より「本のタイトル 感想」で検索する人の方がおおいかなと思ったから。