マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

トマトばかりで気持ちが悪い。

 見るもの全てがトマトになってきてさいきん気分が悪いんだ。なんなのこれは。同じ土壌で同じものばかりつくると病気になるとかよく聞くけどこれはその初期症状なのかもしれぬ。トマト中毒。はじめは割とよかった。不毛で孤独な砂漠地帯にぽつりとオアシスが見つかってさ。一二年ほどまともな水にありつけてなかったから嬉しかったんだよ。ごくごくと水を飲み干すとさらに果物やら野菜やらいっぱい出てくるの。食べれば食べるほど力が沸いてきてさ俺何でもできるんじゃねえかって思ってしまったよ。仲間もたくさんできて思ったこと考えたこと学んだこと行った場所食べたもの共有し合ってそれはそれは楽しかった。旅に出ている時でもオアシスのみんなのことを考えてあの人だったらこんなこと言うんだろうなとか考えちゃんだよ。いい水やいい食糧を得るために必死になってやってた。それは今も同じことなんだろうけど。いつからかな違和感を覚えてきた。いやそれは正確な表現じゃなくてはっきり感じたのは今この瞬間なんだろうけどそれ以前にもあれおかしいななんかちがうなっていうのが少しずつ少しずつ溜まってきてたんだ。仲間は常に同じじゃなくて定期的なサイクルで出たり入ったりしている。その流動が最近滞ってきてなんていうか血流が悪くなった。昔の人はずっと昔のままで固まっておかしなルールや決まりが明文化されずに出来上がった。我々はこうあるべきだここではこうする必要があるとか絶対だめとかそんな感じ。そして時々新しい人が入ってくるとみんなでよってたかって叩くの。内側から外側から表から裏から。オアシス以外の場所でも連絡をとりあってはなにか秘密の決めごとをしてへんな企みをして。それが善意によるものなのか悪意によるものなのかは分からないけど僕はとても気持ちが悪いなと思った。そして僕自身もそれに加担していると気づいたときもうだめかもしれんなここはと落ち込んだ。あああのきれいだった水は飲んでいるうちに濁っていて食べ物は腐っていてオアシス全体が赤みがかってきたの。逆に笑えてきた。これを打開する方法はきっとあるのだろうけど僕はもうなにも考えられない。これからも今までとおなじように生きていくのだろう。もうしばらく待つことにしよう。あと二年か三年かすればここもまたまったく別の土地になっているかもしれない。それまで生き続けよう。