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【書評】84歳の教授が哲学をざっくり体系的に語ってくれる本/「反哲学入門」

体系的に哲学を学べる

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反哲学入門 (新潮文庫)



 夏休み直前、もう今セメで生協に入るのは今日が最後になるのだろう。そう思って前から欲しかった本を一冊買った。「反哲学入門」。帯と目次から察するに、哲学を体系的に理解できる本のようだ。価格は定価で490円。

 読んでみたらそのボリュームに驚いた。哲学で有名な人物名が一通り出てきて、彼らの考え方や関係性が分かりやすく解説されているのだ。ワンコインでこれほど濃密な情報に出会えるのは本という媒体独自のものだ。理系の僕にとって哲学とはわけのわからない混沌としたもの、というイメージしかなかった。しかしこの本によって僕の哲学に対する知識は継ぎ足され、整備され、補強された。

 この本は筆者が新潮社の記者からインタビューを受け、それに答えたものを文字に起こし、後に修正を加えたものである。そのため何度か同じことを言っていたり、話の内容があちこちへ飛んだりする。しかし話し言葉だから難解な語句が少なく、頭に入ってきやすい。

 哲学を勉強しようとして、いきなり難しい本を読まなくてもいい。これ一冊読めば哲学のよいスタートアップになる。

哲学者とは雑学オタクのことである

 筆者に言わせると「哲学」という言葉自体が誤訳であり、それが筆者と他の日本人の哲学へのアプローチを異なったものにしているらしい。

「哲学」の直接の原語はphilosophyあるいはそれに当たるオランダ語で、これは古代ギリシア語のphilosophiaの音をそのまま移したものです。philosphiaは、philein(愛する)という動詞とsophia(知識ないし知恵)という名詞を組み合わせてつくられた合成語であり、「知を愛すること」つまり「愛知」という意味です。

 僕なりに翻訳すれば哲学というのは「オタク学」になりそうだ。すぐに役に立つ実用的な知恵ではなく、雑学や考えることそのものに価値を見いだす学問。哲学と聞くと何やら小難しい印象を与えるが、知を愛することなんだよと言われると親しみが沸いた。

哲学をざっくり理解できる!

 この本のすごいところは哲学の始まりから今に至るまでを順を追って一通り説明しているところだ。教科書一冊分の教えが文庫本一冊にコンパクトに収められている。まず哲学の根本である「存在とはなにか」を説明するところから始まり、古代ギリシアの歴史に沿ってソクラテス、プラトン、アリストテレスの考え方を示す。さらにキリスト教と哲学のつながり、ガリレオやコペルニクスの理系的思想、カントやニーチェ、ハイデガーの近代哲学の展開。

 一回読んだだけでは完璧に理解できないので、内容をノートにとりながら何度も読み直そう。とても楽しい。僕は塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んでいたので、古代ギリシアの歴史と当時の哲学が頭の中でリンクしていくのが心地よかった。

反哲学とはなにか

 さて、本のタイトルにもなっている反哲学とはどういうことなのか。まず哲学とは「存在とはなにか」を問う学問だと言う。そうした考え方は西洋の文化圏のみに生まれたもので、日本人には発想しにくいものだったそうだ。哲学するには、存在する全てのものを俯瞰する視点、神いわゆるゴッドの視点がなければいけない。神いわゆるゴッドは、イデアとか超自然的原理とか、理性などと呼ばれるようになる。

 超自然的原理を設定して、それを参照にして自然を見るような考え方、つまり哲学を「超自然的思考」と呼ぶとすれば、「自然」に包まれて生き、そのなかで考える思考を「自然的思考」と呼んでもよさそうです。わたしが「反哲学」と呼んでいるのはそうした「自然的思考」のことなんです。

 ニーチェ以後、今までの哲学根本を否定する思想家が出てくる。彼らの「反哲学」の思考から西洋の哲学の流れを理解すべきだ。そういう意味合いで本のタイトルは哲学入門ではなく、反哲学入門となっているようだ。

おわりに

 前々から哲学を勉強してみたいなと思っていたけど、何から手をつければいいか分からなかった。「純粋理性批判」とか手にとってパラパラ読んでみたけど気持ちが悪くなってすぐ本を戻した。2chのまとめサイトにも哲学本のオススメスレがあるが、絶対この本の方が初心者には良いと思う。

 そろそろローマ人の物語の続きを読み進めないとな。


 本日はここまで。


ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社
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読むなら3巻からがおすすめ。

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