野球がどこかへ消えていった
先日に続けて再び偏差値野球部のブックレビューである。
二巻を読んでの感想は見出しにある通りだ。作中でも試合はあるが、3回雨天コールドであっけなく終わってしまった。主人公は全く成長せず、周りに仲間たちに振り回されるという印象。
しかし面白い。
村田がつくった高性能バッティングマシン
「そのバッティングマシン、ムラタ3号ヴァージョン3改は、これまでの最高傑作だ。通常のボールに掛かる前方向の回転を、このマシンでは横回転にしてある。原理としちゃ、銃弾と同じだと思えばいいぞ。十八・四四メートルの距離で、初速と終速の差は時速二キロ程度だから、ボールに伸びを感じるはずだ。
(以下略)
進学校の野球部はいったいなにを作っているのか。数字と難解な用語のせいで、正体不明のバッティングマシンはよりいっそう不気味にみえる。しかし、このボールをとることに慣れている根暗男、アフロ君は主人公の豪速球を難なく捕球する。
机上の実践理論
「あたしが理解した限りでは、野球というのはボールの速度をバットの速度が上回るように、ふたつの物体を向心衝突させるゲームだよね」
ここの生徒は何事も数字や原理、裏付けるものがないと納得しないらしい。「スイングしてみればわかるから」は済まされないのだ。しかしこんなこと考えて野球をやる奴なんて見たことない。
考えてみると球体を棒状のものを回転させながら当てるというのはかなり高度な運動だ。ピッチングマシンがいてもバッティングマシンはなかなか存在しないのはそのせいだろう。
強さの軸を作り出せ!
「強いのは、野球のセオリーを作っているチームだよ」
「勝敗の確率を二分の一から引き上げる有効な方法は、相手をこちらのセオリーに引き込むこと。(〜略)
名門校の7時間練習に比べ、うちの弱小野球部の練習時間はたった2時間。これではおなじことを練習しても絶対に差は縮まらない。それでも相手に勝つ為にはセオリーを作ってしまうこと。パラメータを上げるのではなく、新しい強さの軸を作り出してしまうことだ。
とにかくバッティングだけ、バッティングだけを練習すれば、いいとこにいくかもしれない。
開成高校 野球部のようにね。
下手でも勝てる!? 開成高校野球部の“異常な”戦術 | 日刊SPA!